もくじ
ラプラス変換はなぜ必要なのか?
本稿は大学でしっかりと電気数学を学んだ方々に読んでもらうためのものではありません。文系出身で「ラプラス?ポケモンですか?」なんて頓珍漢なことを言ってしまうような方々に向けたものです(何を隠そう、10年前の私なのですが・・・)。数学的に厳密な定義などはちょっと脇に置きます。
「ラプラス変換」は、ずばり「微分方程式を解くための道具」です。例えば、皆様は因数分解できない二次方程式を解く時に「解の公式」を使うことでしょう。微分方程式における「二次方程式の解の公式」に相当するものが「ラプラス変換」です。厳密な数学的意味がよく分からなくても使えば答えが出る、とても便利なものなのです。
ただし、ちょっとだけ手順が多いので迷子になってしまう人が多いのです。そこを最初に整理します。
大前提:自動制御(伝達関数)では微分方程式(\(t\)の関数)を解く
STEP1:微分方程式(\(t\)領域)を作る←これが複雑な式!
STEP2:ラプラス変換(\(t\)→\(s\))で\(s\)領域の方程式を得る
STEP3:ラプラス逆変換(\(s\)→\(t\))を用いる←これが欲しい式!
基本的には上記のような流れです。STEP3に行かずにSTEP2の後に安定判別の問題になったりもしますが、今はそういう枝葉の部分は忘れてください。原則的に、ラプラス変換とラプラス逆変換は表裏一体です。
さて、このラプラス変換の定義式は下記のように表されます。
\(F(s)=\displaystyle\mathcal{L}[f(t)] = \)
上記は覚えておいても損はありませんが、それよりも下記表を上から順にしっかりと覚えておくことが何よりも重要です。定義式を覚えるだけでは導き出せないものがありますし、何より短い試験時間の間に必要なものを計算して導き出す時間が無駄です。ラプラス変換表は確実に覚えましょう。九九を覚えるのと同じです!
ラプラス変換表:t領域→s領域変換
下記表中の関数に関して
\(u(t)\)はと呼びます。\(t>0\)において\(u(t)=\)となる関数です。
\(\delta(t)\)はと呼びます。\(t=0\)において\(\delta(t)=\)となる関数です。
優先順位 | \(f(t)\) | \(F(s)\) | < /tr>
1 |
\(u(t)\) | |
2 |
\(\delta(t)\) | |
3 |
\(e^{-at}\) | |
4 |
\(t\) | |
5 |
\(t^n\) | |
6 |
\(te^{-at}\) | |
7 |
\(\displaystyle\frac{di(t)}{dt}\) | 初期条件0の場合 |
8 |
\(\displaystyle\frac{d^2i(t)}{dt^2}\) | 初期条件0の場合 |
9 |
\(\displaystyle\int i(t)dt\) | 初期条件0の場合 |
10 |
\(\cos\omega t\) | |
11 |
\(\sin\omega t\) | |
12 (おまけ) |
\(e^{-at}\cos\omega t\) | |
13 (おまけ) |
\(e^{-at}\sin\omega t\) |
10個と最初に銘打ったのに、ここには結局13個を紹介してしまいましたが、そこはご愛嬌。とにかくこれだけ覚えられれば計算問題で苦労することはありません。演習する前に、まずはこれらを全て覚えましょう!計算を軽視すると最後まで伸び悩んでしまいます。
ラプラス逆変換表:s領域→t領域変換
先述のラプラス変換表の逆ですが、暗記カードのように使ってもらいたいので、記載します。
優先順位 | \(f(t)\) | \(F(s)\) |
1 |
\(\displaystyle\frac{1}{s}\) | |
2 |
\(1\) | |
3 |
\(\displaystyle\frac{1}{s+a}\) | |
4 |
\(\displaystyle\frac{1}{s^2}\) | |
5 |
\(\displaystyle\frac{n!}{s^{n+1}}\) | |
6 |
\(\displaystyle\frac{1}{(s+a)^2}\) | |
7 |
\(sI(s)-i(0)\) | |
8 |
\(s^2I(s)-si(0)-i'(0)\) | |
9 |
\(\displaystyle\frac{I(s)}{s}+\displaystyle\frac{i^{(-1)}(0)}{s}\) | |
10 |
\(\displaystyle\frac{s}{s^2+\omega^2}\) | |
11 |
\(\displaystyle\frac{\omega}{s^2+\omega^2}\) | |
12 (おまけ) |
\(\displaystyle\frac{s+a}{(s+a)^2+\omega^2}\) | |
13 (おまけ) |
\(\displaystyle\frac{\omega}{(s+a)^2+\omega^2}\) |
確認問題1
後日追記予定
確認問題2
後日追記予定