半導体は現代の私たちの生活を支える非常に重要な物質です。電子回路に精通している人にとっては電験三種の問題は簡単すぎるのですが、日頃、制御回路設計やソフトプログラム設計、試験のような業務に従事している人々にとっては馴染みがあまりなく、難しく感じる分野でもあります。そこで、ここでは半導体の絶対に押さえておきたい必修3ポイントを紹介します。
もくじ
半導体は電流の流れやすさが変化する物質
半導体は、( ① )と、自由に移動できる( ② )が増え、電流が流れやすくなる物質です。( ① )ほど電気抵抗が小さくなるため、制御ができなくなる悪循環に陥る危険性があります。これを( ③ )と言います。
温度が上昇する
電子
熱暴走
半導体には大きく分けて2種類が存在します。化学式( ④ )に代表されるような、不純物を含まない半導体を( ⑤ )と呼びます。一方で、微量に不純物を混ぜて作った半導体を不純物半導体と呼びます。
Si(シリコン)
真性半導体
この不純物半導体にはn形半導体とp形半導体の2種類が存在します。
<n形半導体> 不純物を含まない半導体に、価電子( ⑥ )の化学式( ⑦ )、( ⑧ )、( ⑨ )の原子を混ぜて作った半導体のことを言います。このような不純物を混ぜると余分な( ⑩ )が発生します。この( ⑩ )を作るためにドープする不純物を( ⑪ )と呼びます。
5
As(ヒ素)、P(リン)、Sb(アンチモン)
自由電子
ドナー
<p形半導体> 不純物を含まない半導体に、価電子( ⑫ )の化学式( ⑬ )、( ⑭ )、( ⑮ )の原子を混ぜて作った半導体のことを言います。このような不純物を混ぜると余分な( ⑯ )が発生します。この( ⑯ )を作るためにドープする不純物を( ⑰ )と呼びます。
なお、( ⑩ )や( ⑯ )は電荷を運ぶ( ⑱ )と呼ばれるが、p形半導体での多数( ⑱ )は( ⑲ )であり、少数( ⑱ )は( ⑳ )です。n形半導体の場合には逆になります。
3
In(インジウム)、B(ホウ素)、Ga(ガリウム)
正孔
アクセプタ
キャリヤ
正孔/自由電子
これが半導体の基本です。電験3種で出題されるのは「ダイオード」、「トランジスタ」の主に2種類です。
ダイオードは5種類
電験3種でよく出題されるのは5種類です。( ㉑ )は逆電流を用いて一定の電圧を得るダイオードです。( ㉒ )は光を当てると光量に比例して電圧が流れるものです。この現象を( ㉓ )と呼びます。( ㉔ )はコンデンサのような働きを利用します。その他、発光ダイオード(LED)やレーザーダイオードがあります。
ツェナーダイオード(定電圧ダイオード)
ホトダイオード
光起電力効果
可変容量ダイオード
トランジスタは分類をきっちり!
まず、トランジスタは2種類に大別できます。それが( ㉕-1 )と( ㉕-2 )です。(㉕-1)は( ㉖-1 )でコレクタに流れる電流を制御します。一方、(㉕-2)は( ㉖-2 )でドレーン電流を制御します。
問25-1:バイポーラトランジスタ
問25-2:電界効果トランジスタ(FET)
問26-1:ベース電流
問26-2:ゲート電圧
確認問題(平成30年度 問11改題)
半導体素子に関する記述として、正誤を答えよ。
(1)pn接合ダイオードは、それに順電圧を加えると電子が素子中をアノードからカソードへ移動する2端子素子である。
誤
電子はカソードからアノードへ移動します。
(2)LEDは、pn接合領域に逆電圧を加えたときに発光する素子である。
誤
順電圧を加えたときに発光する素子です。
(3)MOSFETは、ゲートに加える電流によってドレーン電流を制御できる電流制御形の素子である。
誤
MOSFETはゲート電圧によってドレーン電流を制御する電圧制御形の素子です。これに対してバイポーラトランジスタはベース電流によってエミッタ電流を制御する電流制御素子です。
(4)可変容量ダイオード(バリキャップ)は、加えた逆電圧の値が大きくなるとその静電容量も大きくなる2端子素子である。
誤
逆電圧の値が増加すれば空乏層が広がります。これにより静電容量は低下してしまいます。
(5)サイリスタは、p形半導体とn形半導体の4層構造からなる4端子素子である。
誤
4層構造からなる「3端子素子」ですね。
確認問題
後日追記予定