もくじ
コンデンサとは電気をためる場所
キャパシタと呼ばれることもあります。下図のように電解コンデンサには2本のリード線が出ています。長い方が+(プラス)です。蓄えられる電荷の大きさを「静電容量」と言い、( ① )という単位で表します。
F(ファラッド)
![](https://denki.forepon.com/wp-content/uploads/2022/01/1920px-Electronic-Component-Elec-Capacitors-1024x894.jpg)
コンデンサの実際の活用例は多様ですが、電験3種試験に合格するだけなら覚えるべきことはたった2つです。
まず第1に「静電容量」を求める式です。( ② )
次に「コンデンサに蓄えられる電荷」を求める式です。( ③ )
たまに、電極版間の電界の大きさ( ④ )を覚えようとしている方もいらっしゃいますが、定義を考えれば特に覚える必要性はないと思います。
\(C=\displaystyle\frac{\epsilon A}{\ell}\)
C[F]:静電容量
\(\epsilon\)[F/m]:誘電率
\(A\)[㎡]:面積
\(\ell\)[m]:電極板間距離
Q=CV
Q[C]:電荷
C[F]:静電容量
V[V]:電圧
E[V/m]=\displaystyle\frac{V}{\ell}
「電界の大きさ」は「傾斜」と似たようなものと考えると良いでしょう。距離が短いのに、電圧が大きければ傾斜は急になります。それだけ、電界の大きさも「大きい」ということです。
複数のコンデンサの静電容量(直列と並列)
コンデンサを直列、並列につなぐことで静電容量にも変化が生じます。
(直列の場合)( ⑤ )
(並列の場合)( ⑥ )
静電容量は電極板の面積(A)に比例し、距離(\(\ell\))に反比例することを理解していれば、特に覚えるようなことでもないと思います。電験3種では、「理解」を重視し、「暗記」を減らすことが大切ですよ!
\(C_0=\displaystyle\frac{1}{\frac{1}{C_1}+\frac{1}{C_2}+\frac{1}{C_3}+\cdots+\frac{1}{C_n}}\)
\(C_0=C_1+C_2+C_3+\cdots+C_n\)
交流回路のコンデンサは「抵抗」
直流では電気は一方向にしか流れませんから、基本的に「蓄電池」としての役割となります。しかし、交流では絶えず電気の流れは変化しています。コンデンサは電気を溜める、流れを阻害するところ、つまり抵抗として機能することになります。
\(R_c=\displaystyle\frac{1}{\omega C}\) [\(\Omega\)] ※ \(\omega=2\pi f\)
確認問題(平成26年 A問題 問5)
図のように、コンデンサ3個を充電する回路がある。スイッチ\(S_1\)及び\(S_2\)を同時に閉じてから十分に時間が経過し、定常状態となったとき、a点から見たb点の電圧の値[V]を求めよ。ただし、各コンデンサの初期電荷は零とする。
![](https://denki.forepon.com/wp-content/uploads/2022/01/H26_A_5.png)
![等電位を把握する](https://denki.forepon.com/wp-content/uploads/2022/01/2021-04-10.gif)
等電位の部分に色を付けてみました。これを把握するのが最初です。
aの電位、bの電位が分かればその電位差が求めたい「電圧」になります。
定常状態になった時の電荷の配置を書き込みます。
![電荷を把握する](https://denki.forepon.com/wp-content/uploads/2022/01/2021-04-10_2.png)
それぞれのコンデンサに蓄えられる電荷を\(Q_1\)、\(Q_2\)、\(Q_3\)とします。
繋がっているところの電荷の総和は0となるはずです。
\(Q_1+Q_2+Q_3=0\)
それぞれのコンデンサに蓄えられる電荷に関する等式を作りましょう。
そのためにはまず、各コンデンサの電圧を求めなければなりません。電圧なので、好きなところを0V(基準電圧)にして良いですね。
※「電位」は絶対的なものなので、接地部分が0Vとなります。
![基準を設定して電圧を定める](https://denki.forepon.com/wp-content/uploads/2022/01/2021-04-10_3-1.png)
では、どこを基準にするかと言えば「複雑そうなところ」です。20Vと10Vの電源に接続されている黄色部分(a)を0Vとします。そうすると、各コンデンサに蓄えられる電荷は
\(+Q_1=10\cdot (20-V_b)\)
\(+Q_2=20\cdot (0-V_b)\)
\(-Q_3=10\cdot(V_b-(-10))\)
蓄えられる電荷のプラス、マイナスに注意しましょう。
あとは中学校の知識(連立方程式)を用いて計算をするだけです。
\(10(20-V_b)+20(-V_b)-10(V_b+10)=0\)
\(V_b=2.5V\)・・・(答え)
確認問題(平成24年 A問題 問15)
後日追記予定
確認問題(令和3年 B問題 問17)
後日追記予定