電圧降下近似式の「何が分かっていないか」が分かった!:重要な視点はベクトルじゃなく「線間」です

電験3種合格の為に押さえるべき3ポイント

いろいろな参考書や問題集には難しいことがつらつらと書かれていますが、重要なことはたった3つです。ここを押さえた上で問題演習を重ねなければどんな努力も水泡に帰すというものです。

電圧降下の必須3ポイントp

  ・\(v = V_s – V_r \)
    \( = \sqrt{3}I_{\ell}(R\cos\theta+X\sin\theta)\)
  ・受電端\(V_r\) に対する遅れ力率 \(\cos\theta\)
  ・\(V_s\)と\(V_r\)は線間電圧

 (注) \(R\)[\(\Omega\)]:1線あたりの抵抗値
     \(X\)[\(\Omega\)]:1線あたりのリアクタンス
     \(I_{\ell}\)[A]:線電流

何に対する遅れ力率ですか?

多くの場合、「電源に対する力率」を無意識に考えていたと思います。しかし、「送電」問題の場合には少々問題が生じます。送電端と受電端に大きさにも位相にも差ができるからです。電線のインピーダンスがあるので、大きさは小さくなります。さらに送電路にはリアクトルがありますので、当然送電端と受電端に位相差が生じますね。ベクトル図を描く際に、何を基準に描けば良いのか、迷ってしまう人も多いみたいです(「おまけ」で詳述します)。

力率\(\cos\theta\)は受電端\(V_r\)に対するものです。受電端を基準にベクトルを描きましょう!

線間電圧と相電圧を意識します

3相交流回路では必ず相電圧か線間電圧かを明確にしましょう。電圧降下の近似式で登場する\(V_s\)や\(V_r\)は線間電圧です。Y結線の場合には、原理的に3相交流回路の相電圧の計測はできず、計測できるものは基本的に線間電圧です。従って、特別に断りが無い場合には、線間電圧で処理されていると考えて良いです。

そして、3相交流回路の公式で出てくる有効電力は \( P = 3I_pV_p\cos\theta \) で与えられますが、これは「相」で作った式です。本式を「線間」に着目して考えた場合には \( \sqrt{3}V_p=V_{\ell} \)もしくは\( \sqrt{3}I_p = I_{\ell} \)を用いて\( P = 3\times\frac{1}{\sqrt{3}}\times I_{\ell} V_{\ell} \cos\theta = \sqrt{3}I_{\ell}V_{\ell}\cos\theta \)が得られます。

「相」に着目しても、「線間」に着目しても問題を解い野に支障はありません。自分の好きな方でやれば良いです。大切なのは「自分の中の統一感」です。問題集や参考書の解答ではその都度ベストな解法でやっていますが、我々は下手に色々な解き方に手を出す必要はありません!

確認問題

(後日追記予定)

おまけ<近似式の求め方>

電験3種に合格するだけなら、正直に言えば詳細な公式の導出方法を知っている必要性は低いと思います。しかし、この導出プロセスには交流回路のエッセンスが詰まっています。その後もステップアップを続け、電気のプロフェッショナルになりたいのならば、ぜひとも身に着けましょう!

(後日追記予定)

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